異色のギャグ漫画がSNSで大バズり!『プリンセスお母さん』作者・並庭マチコ先生特別インタビュー

Twitter(現X)で投稿した漫画が20万いいねを獲得!抱腹絶倒の実録ギャグ漫画『プリンセスお母さん』の作者、並庭マチコ先生のインタビューをお届けします。


Contents

  1.  小さい頃に描いた大きな夢
  2.  名作漫画に導かれて勝負の舞台へ
  3. 『プリンセスお母さん』の始まり
  4.  漫画は自己流!?点と点は繋がる
  5.  初見の方必見!『プリンセスお母さん』おすすめエピソード

――本日は、お忙しい中お時間を頂きありがとうございます!

並庭マチコ:こちらこそありがとうございます。どうぞよろしくお願いします!

★並庭マチコ先生 X


小さい頃に描いた大きな夢

――いつから漫画家を目指すようになりましたか?

並庭マチコ:小さい頃からアニメや漫画が好きで、漫画家になりたい気持ちはずっとありました。絵を描くのも好きで、親が褒めてくれこともあり、将来は漫画を描きたいとぼんやり思っていましたね。

――子どもの頃の夢を実現されたのは素敵ですね!『プリンセスお母さん』の作中でも、漫画家になりたいことを打ち明けられたエピソードが印象的です

並庭マチコ:漫画家志望をはっきり伝えることになった高校の三者面談は思い出深いです(笑)。その後、美術大学に行くか漫画の専門学校にいくか迷った時、美術の先生に相談して、迷っているなら美大で色々勉強した方が漫画以外の知見も広がるし為になるんじゃないかと言われたため、卒業後は美大に進学しました!

心温まる学生時代のエピソード [1]

名作漫画に導かれて勝負の舞台へ

――漫画家を目指して美大へ進み、漫画家になるまで順調だったのでしょうか?

並庭マチコ:いえいえ、漫画家志望の方は普通、持ち込みや投稿をされると思いますが、私は自信が無くて、なかなか出来ませんでした。アルバイトをしながら趣味で描きつつも、勝負に踏み切れなかった期間が長かったですね。

――そうだったんですね。そのような期間を抜けて、商業誌で掲載されたのは何かきっかけがあったのでしょうか?

並庭マチコ:それが美大を卒業してしばらく経った時に『ベルセルクに大ハマりしまして(笑)

――三浦建太郎先生の『ベルセルク』!未完の大作ですね!!

至高のダークファンタジー [2]

並庭マチコ:『ベルセルク』好きの友人が、漫画の原稿を持ち込むと三浦先生の講義が聞ける白泉社のイベントを教えくれて、「これは行きたい!」と強く思い、勇気を出して初めて原稿を持ち込みました。

――好きな作品が夢への一歩を踏み出させてくれたんですね。

並庭マチコ:はい、本当に感謝です。さらにありがたいことに、それをきっかけに雑誌で賞をいただくことができました。

――まさに漫画のような展開ですね!

並庭マチコ:その後、『ヤングアニマル』(白泉社)で読み切り作品を数本掲載していただけましたが、連載まではいかなかったんですよね。

――連載される作品は本当に一握りなんですね… 漫画業界の厳しさを感じます。


『プリンセスお母さん』の始まり

並庭マチコ:それからどういう作品を書けばいいのか悩んでいる時期に、当時のTwitterで実録漫画が結構流行っていて、プロ・アマ関係なく賑わっていたので、自分もノリで描いてみようかなと息抜きで実録漫画を描き始めました。

――『プリンセスお母さん』の始まりですね!反響はいかがでしたか?

並庭マチコ:当時のフォロワー数が1000人だったのに対して、母の実録漫画では当時20万を超えるいいねをいただき、本当に驚きました。それからKADOKAWAさんなどから企画化・書籍化のご相談をいただき、その後も漫画を描き続けて、おかげさまで初めて本が出たという流れですね。

SNSで大きく話題になった投稿(並庭先生Xより

――漫画家を志してから作品を出版するまで本当にドラマチックですね

並庭マチコ:いえいえ、消極的だったのが、人の力を借りてここまで来れた感じです。なかなか時間がかかってしまった人生ですね(笑)


漫画は自己流!?点と点は繋がる

――漫画はどのように学ばれたのでしょうか?

並庭マチコ:普通はアシスタントになったりすると思いますが、本当に消極的で、アシスタントの募集を見つけて、いいなと思っても挑戦できませんでした(笑)。本を読んで調べたりしながら、ここまで自己流で来てしまったので、少し後悔しています。

――自己流は凄いですね!美大時代の学びが活かされている点などはありますか?

並庭マチコ:今振り返ると、「あるテーマにどのようなアプローチで個性を出すか」という点が「漫画家として個性を出す」という点と繋がっている気がしますね。美大では油画を専攻していて、出題されたテーマに対して、概念的なものを自分の作品で表現するといった課題が多かったので、糧になっていると思います。


初見の方必見!『プリンセスお母さん』おすすめエピソード

――『プリンセスお母さん』で、特に思い入れのあるエピソードを教えていただけますか?

並庭マチコ:Twitterに最初に投稿した言い間違えや城の主ごっこなどの4枚が私の中では特別です。当時、私の中で最も印象的だった母のお茶目エピソードを描いたので。とはいえ、こんなに反響をいただくほど変わってるとは思いませんでした(笑)。

代表的なお茶目エピソード(並庭先生Xより

並庭マチコ:ギャグ以外の話では、母の人生観を掘り下げた描き下ろしも印象深いですね。私自身、母へのインタビューを通して初めて知った意外なこともあったので、こちらも単行本で読んでいただけたら嬉しいです!

――ギャグ満載の作品で哲学的な部分を感じられるのも魅力ですね。特に心に残っているママ子さんの教訓はありますか?

並庭マチコ:「幸せじゃないならやめちゃえ!」という言葉です。 自分は諦めが悪いタイプで、仕事などでも明らかに向いてなかったり、うまく行ってないことを変にこだわって続けて気持ちが辛くなるようなことがあるのですが、この言葉を思い出すと、一旦リセットして別の方法を試したり仕切り直そうという気持ちになれます。

――直球で心に響きますね。そのようなママ子さんの視座が高くハッとする言葉に助けられる読者も多いかと思います。私も「国家お買い上げじゃないし」という言葉には助けられています!(笑)

ママ子さんの言葉はインパクト大!  [3]

インタビューは後半に続きます!(近日公開予定)


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何度読んでも面白い実録ギャグ漫画 [4]
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食レポも秀逸!深夜に読むのはご注意を  [5]
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画像引用元:
[1] 並庭マチコ、プリンセスお母さん 1 (コミックエッセイ) Kindle版、KADOKAWA、2019、p.127
[2] 三浦建太郎、ベルセルク 1 (ヤングアニマルコミックス) Kindle版、白泉社、1990、cover
[3] 並庭マチコ、プリンセスお母さん 3 (コミックエッセイ) Kindle版、KADOKAWA、2021、p.14-15
[4] 並庭マチコ、プリンセスお母さん 1 (コミックエッセイ) Kindle版、KADOKAWA、2019、cover
[5] 並庭マチコ、スイーツ♡ヤクザの甘杉さん 1 (ぶんか社グルメコミックス) Kindle版、ぶんか社、2023、cover

Nico, 編集長

マンガ好きの両親から生まれたマンガ狂い。欧州最大級のカルチャーイベントで運営・通訳を経て、『ComicAddict』の編集長に就任。

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