食欲と笑いのツボを刺激する今注目のギャグ漫画!『スイーツ♡ヤクザの甘杉さん』作者・並庭マチコ先生 特別インタビュー

抱腹絶倒のギャグ漫画『プリンセスお母さん』『スイーツ♡ヤクザの甘杉さん』の作者、並庭マチコ先生のインタビューをお届けします!(インタビュー前編はこちら


Contents

  1.  ギャグ漫画へのこだわり
  2. 『スイーツ♡ヤクザの甘杉さん』の始まり
  3.  摩訶不思議!絶品スイーツ「ファールーダ」
  4.  好きな漫画・影響を受けた作品
  5.  漫画家志望の方へ
  6.  今後の目標・野望

――並庭先生、引き続きインタビューよろしくお願いします!

並庭マチコ:よろしくお願いします!

★並庭マチコ先生 X


ギャグ漫画へのこだわり

――漫画を描く上でのこだわりを教えていただけますか?

並庭マチコ:ギャグ漫画はテンポが一番大事だと思っています。例えば『プリンセスお母さん』は実録のため、ネタが作れないので、自分としてはギャグ的に少し弱いかなと思うエピソードも笑ってもらえるように、テンポや演出を工夫してますね。

――ユニークな効果音も特徴的ですが、そのあたりもこだわっているポイントでしょうか?

並庭マチコ:まさにそうです!それもネタが弱いのをカバーして、少しでもおかしな雰囲気にしたくて(笑)

「しゅんヌ…」の画像はLINEスタンプでも登場! [1]

――その他に意識されていることはありますか?

並庭マチコ:セリフも出来るだけ短く、歯切れよくしたいと思っています。それと、好きなものや好きな出来事を描くのが大事だと思っています。

――『プリンセスお母さん』でご家族の楽しい思い出が多いのは、そのような背景があるのですね。

並庭マチコ:そうですね。自分が経験した面白かったこと、楽しかった気持ちを共有したくて、ギャグ漫画を描いているので、それは一番大事な部分だと思います。

――読者の方から届いた印象的なメッセージはありますか?

並庭マチコ:「面白かった」「元気が出た」という感想は本当に嬉しいです!あと、「多様性を感じられて好きです」という感想をいただいたのが、凄く嬉しかったです。私がギャグ漫画を好きなのは、笑えることに加えて、「こういう人もいていいんだ」「こういうこともあっていいんだ」って思える部分なんですよね。気持ちが楽になったり、視野が広がる気がしていて。

――ギャグ漫画を読むとポジティブな気持ちになれるのは、そういった部分もありそうですね。

並庭マチコ:人のちょっとした失敗やダメに見える部分が、漫画にすることでお茶目に見えたり、面白かったりして、ネガティブに見える部分を少し肯定できるようなところがギャグ漫画だからこそできることだなと思います。


『スイーツ♡ヤクザの甘杉さん』の始まり

――最新作の『スイーツ♡ヤクザの甘杉さん』が生まれたきっかけを教えていただけますか?

並庭マチコ:グルメ漫画雑誌『ごはん日和』のご担当者から「食べ物をテーマに描いてみませんか」とご連絡をいただいたことがきっかけです。当時、描きたいものは色々あったのですが、まだうまく形にできていない状態で、『ごはん日和』は「おいしい食べ物」というテーマが明確で描きやすいかなと思い、お引き受けしました。あとは、ちょっとやってみよう!という勢いですね(笑)

――ご縁と挑戦から始まったのですね!グルメ漫画の中でも異彩を放つ作品ですが、何から着想を得られたのでしょうか?

並庭マチコ:『ごはん日和』は、ほんわかした作品が多い癒し系の雑誌ですので、それとはギャップのあるキャラクターとして、雰囲気をぶち壊すヤクザを登場させてみました(笑)

――怖いはずの甘杉さんが、スイーツ好きを隠して硬派を気取る姿が微笑ましいのも作品の魅力ですね!

並庭マチコ:ありがとうございます!リアルな裏社会は怖いので、ゆるふわ&ファンタジーに描いています。

ヤクザの威厳を守ろうとする甘杉アニキ! [2]

摩訶不思議!絶品スイーツ「ファールーダ」

――漫画で登場した中で、特に印象的なスイーツはありますか?

並庭マチコ:取材で初めて食べたインドの「ファールーダ」という、不思議な赤いニョロニョロが黄色いアイスに載っているスイーツが印象的で、面白くて美味しかったです!

――これを知っている方はまさにグルメですね。みなさん、要チェックです!

インドの絶品スイーツ「ファールーダ」 [3]

好きな漫画・影響を受けた漫画

――私たちの漫画レビューサイト「ComicAddict」は自分が好きな漫画をリスト化して、人に紹介できる機能などもありますが、先生なら何を選択されますか?

並庭マチコ:悩みますね(笑)。好きな作品は無限にありますが、特に思い入れが強いのは思春期に読んでいた作品です。少し昔の作品ですが、『聖闘士星矢』『ジョジョの奇妙な冒険』『ルナティック雑技団』『魔人探偵脳噛ネウロなどに特にハマっていました。

――幅広いジャンルの漫画を読まれていたのですね!

並庭マチコ:そうですね。小さい頃は少女漫画が好きで『りぼん』などを読んでいましたが、中学生の頃から少年漫画も沢山読むようになりました。濃い漫画が好きだったので、自分より前の世代の作品にも惹かれて、一番ハマった作品は『聖闘士星矢です!

――『聖闘士星矢』は海外でも熱狂的なファンが多い名作ですね!私が住んでいたフランスでもアニメが放映されていました。壮大なバトルや個性豊かなキャラクターに加えて、唯一無二のぶっ飛んだ設定や世界観も魅力ですよね!

並庭マチコ:とてもカッコいいのですが、硬派すぎて「そこまでやる!?」っていう極端さが少しギャグっぽくもあり、おもしろいんですよね(笑)。シリアスとギャグはギャップがあるようで実は紙一重で、自分の漫画でも真面目さの裏にあるシュールさ、お茶目さに注目することが好きです。

壮大な銀河戦争を描いた不朽の名作 [4]

――幅広い漫画を愛読された先生が、ギャグ漫画を主に描くようになったのは何故でしょうか?

並庭マチコ:元々、ギャグ漫画家になろうと思っていたわけではないんですよ。昔は、シリアスで真面目な漫画を描こうと思いましたが、話の合間にいちいちギャグを入れてしまって、話がまとまらなくなるので、思い切ってギャグ漫画を描くようになりました(笑)

――そうだったのですね!特に影響を受けたと感じる作品はありますか?

並庭マチコ:岡田あーみん先生の『ルナティック雑技団』ですね。一見、少女漫画風なんですけど、ギャグが盛り込まれていて、そういうギャップのある作品が昔から好きで影響を受けていると思います!


漫画家志望の方へ

――小さい頃からの夢を叶えた先生から、漫画家を目指す方へアドバイスをいただけますでしょうか?

並庭マチコ:私の場合、時間はかかりましたが、ずっと漫画家に対して憧れがあったので、それを叶えるという強い気持ち、根拠がなくても自信を持つことが大事だと思います。続けていれば、何かしらきっかけにぶつかると思いますので、努力の方向次第なのかなと。それと環境も重要で、私の場合は漫画の持ち込みイベントに声をかけてくれた人がいたり、応援してくれる家族の力もあり、夢を実現することができました。

――漫画家志望の方だけでなく、色々な夢や目標を持っている方に響くアドバイスをありがとうございます!

並庭マチコ:あとは、私も元々描いていたものとは違うジャンルの漫画で人気が出たので、漫画家を目指している方は色々なタイプの創作をしてみるのも良いと思います!


今後の目標・野望

――今後の目標や野望を伺えますか?

並庭マチコ:趣味ではなく仕事として漫画を描くと色々考えてしまい、作品作りを純粋に楽しむことが難しいのですが、商業でも漫画を描くのが楽しくて仕方ないという方もいるので、自分もそうなれたらなと思います。それと、まだ作品にできていない過去のネタやネームを形にすること、自分の漫画をもっと理想の形にすることを目指しています。

――理想の形について、詳しく教えていただけますか?

並庭マチコ:自分ではネームの時点が一番面白いと感じていて、 それを作画すると頭の中で描いていた面白かったはずのものと少し違うものになったりするんですよね。そのズレを無くして、ネームを超える面白さに作画することが理想です。

――クリエイターならではの目標ですね!今後も先生の作品を楽しみにしています。本日は誠にありがとうございました!

並庭マチコ:こちらこそありがとうございました!


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画像引用元:
[1] 並庭マチコ、プリンセスお母さん 1 (コミックエッセイ) Kindle版、KADOKAWA、2019、p.84
[2] 並庭マチコ、スイーツ♡ヤクザの甘杉さん 1 (ぶんか社グルメコミックス) Kindle版、ぶんか社、2023、p.54
[3] 並庭マチコ、スイーツ♡ヤクザの甘杉さん/ごはん日和 Vol.47 (ぶんか社コミックス) Kindle版、ぶんか社、2024、p.118
[4] 車田正美、聖闘士星矢 1 (ジャンプコミックスDIGITAL) Kindle版、集英社、1986、cover
[5] 並庭マチコ、プリンセスお母さん 1 (コミックエッセイ) Kindle版、KADOKAWA、2019、cover
[6] 並庭マチコ、スイーツ♡ヤクザの甘杉さん 1 (ぶんか社グルメコミックス) Kindle版、ぶんか社、2023、cover

Nico, 編集長

マンガ好きの両親から生まれたマンガ狂い。欧州最大級のカルチャーイベントで運営・通訳を経て、『ComicAddict』の編集長に就任。

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