なろう系漫画レビュー空間『Aランクパーティを離脱した俺は、元教え子たちと迷宮深部を目指す。』

 

概要

  • ユーリ (著),すーぱーぞんび (著),右薙 光介 (原著)
  • 2020-2022小説家になろうで連載
  • 『追い出した奴らが落ちぶれる』パターン

一時期、なろう系で人気になった「もう遅い」パターン。
ハーレムパーティーも標準装備で、なろう系の勝利の方程式がきれいに押さえられた作品です。
絵もほわっとした可愛らしい感じで、楽しく読めました。

 

レビュー

漫画が上手

ユーリ(著), すーぱーぞんび(著), 右薙 光介(原著),Aランクパーティを離脱した俺は、元教え子たちと迷宮深部を目指す。(1), 講談社, 表紙,2021,p130

気を抜いて描くところと、真面に描くところ、漫画的効果を書き込むところがハッキリしていて、読んでいて楽しいです。
なろう系で読んでいて飽きてくる漫画って、「ここで読者が気持ちよくなれ!」っていう場所で書き込みや効果が足りず、登場人物の感情が少し弱いと気づきました。
結果、脳汁出ないんですよね。
この作品は、しっかり押さえてます。

絵はデフォルメがかわいい

ユーリ(著), すーぱーぞんび(著), 右薙 光介(原著),Aランクパーティを離脱した俺は、元教え子たちと迷宮深部を目指す。(1), 講談社, 表紙,2021,p163

失礼な感想ですが、漫画担当の方は「絵がとてもうまい」というわけではないです。
しかし、気が抜けたデフォルメ絵は可愛いですね。私は好みです。
00~10年代でしっかりオタクだった層は馴染みやすい感じなのでは。
逆に今の若い人には刺さるのだろうか・・・

「今更呼び戻してももう遅い」系は社会人層に結構ささるハズですので、年季の入ったオタクがターゲットだと考えると、良い采配と言えます。

女性3人に驚かれ、褒められ続ける空間

ユーリ(著), すーぱーぞんび(著), 右薙 光介(原著),Aランクパーティを離脱した俺は、元教え子たちと迷宮深部を目指す。(1), 講談社, 表紙,2021,p60

優しい世界、なろう系の基本です。

前半は特に、読者の日々の業務の疲れを癒すように、怒涛の「すごーい!」ラッシュです。
良いですね。
今まで頑張って苦労していた自分が報われる。なろう系の醍醐味です。

「気持ちよくするところを意識してしっかり描く」ということを丁寧にしている漫画家さんな気がします。

配信システムがもう少し話に関わってくれればいいな

この世界では、冒険者の冒険を動画配信して金策につなげることができます。
面白いシステムなのですが、2巻までの現在では、そこまでお話に必要ないかな、というところ。
今後、うまい感じの起爆剤になればいいな、と感じます。

もう遅い系は、勤労な日本人労働者の夢

これ系って海外でも流行るのかな。日本人向けに特に人気な作品なのではないでしょうか。

雇用の流動性が低く、会社を続ける美徳が根強く残る日本だからこそ刺さるスカッなのでは。
アメリカ等だと、「すぐやめろよ、やめないならお前の責任だろ」という話になるのでは?わかりませんが。
各国で、好まれやすいなろう系パターンなんていうのも調べてみたいですね。

 

大山 悠二

31歳、独身。中学生の頃から主に現実逃避のために漫画を読んできた。詳しいジャンルは00年代の萌え系、異世界系など。

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