【ナツノアメ先生】漫画の原作者になる方法を聞いてみた!【サテライト・コインランドリー】

――本日は、お忙しい中お時間を頂きありがとうございます!

ナツノアメ:こちらこそありがとうございます。どうぞよろしくお願いします!

ナツノアメ先生プロフィール

2022年から漫画『サテライト・コインランドリー』の原作を担当。
会社員としてバリバリ働きつつ、原作業もこなすダブルワーカー。
ナツノアメ先生Twitter(X)


原作者になった経緯

――なぜ漫画の原作者になろうと思ったのでしょうか?

ナツノアメ:元々「物語を作りたい」という思いがずっとあって、昔から漫画が好きだったこともあり、漫画の原作者を意識するようになりました。

――ナツノ先生は働きながら、夢を叶えられたのですよね。

ナツノアメ:はい。原作者を目指していたときに、知人の紹介で作画担当のよよはち先生と知り合うことができたんです。そのままどんどん話が進んでいって、漫画の形で発表することができました。本当に運がよかったですね。

――原作者としてはレアなケースなんですね。

ナツノアメ:そう思います。普通は、持ち込み等で目をつけてもらった後に、作画担当の方をご紹介いただくことが多いようです。私の場合は、先によよはち先生と出会って、意気投合して、「漫画を描こう!」というところまで決めてしまいました。まずはTwitterでプロトタイプを発表したのですが、それが幸運なことに色んな方に見ていただけて・・・。それを見つけてくれたKADOKAWAさんのご協力も加わり、出版までさせてくれたんです。


漫画の原作者になるには?

―― 一般的に原作者になるにはどうすれば良いのでしょうか?

ナツノアメ:先程も少し触れましたが、「持ち込み」や「SNS等への投稿」から入るのが良いと思います。

――「持ち込み」は昔ながらという感じがしますね。原作者でも持ち込むんですね。

ナツノアメ:はい。知り合いの原作者の方は出版社へ毎週持ち込みに行っていましたよ。

――「SNS等への投稿」は今っぽい方法ですね。

ナツノアメ:そうですね。SNSや投稿サイトなど、どこかしらで発表したものが評判になり、出版社から声がかかり・・・というルートです。文章だけであれば、投稿サイトの”小説家になろう”からの漫画化なども多いですよね。

――確かに、沢山の作品が漫画化していますし、人気作も多いイメージです。

ナツノアメ:はい。実際、原作ありきの漫画が増えているみたいです。原作者になる間口は広がっていると言えるかもしれませんよ!


原作の仕事を教えて!

――そもそも「原作者」って何をされているんですか?

ナツノアメ:漫画のストーリーを考えて、土台の部分の簡単なネームとセリフを作ります。その後は作画担当のよよはち先生にバトンタッチです。

――なるほど。もう少し細かく原作者の作業を教えてください!

ナツノアメ:私の場合ですが、まずは、1つのエピソードを一言で表現するようにしています。『サテライト・コインランドリー』の2巻の最初の話なら「不眠症の恐竜の宇宙人が毛布を洗いに来てスッキリする話」ですね。その後、プロットで文章に起こします。文章化したら、何ページ目にどのセリフがくるのかを決めるんです。そして最後に、コマ割りも含めてネーム化です。

(左)ネーム / (右)完成した漫画 [にわかあめ(よよはち×ナツノアメ), サテライト・コインランドリー(2), KADOKAWA, 2023, p.17]
――原作者のお仕事はどれくらい大変なのでしょうか?

ナツノアメ:私の場合は日中が本業で埋まっているせいもありますが、1話のネームを作るのに2週間、長いときには1ヶ月くらい時間がかかることもあります。

――結構かかりますね。

ナツノアメ:はい。出版社の担当の方からも意見をいただいて修正も行うので、結構力を使います。読者の方からのメッセージなどを読んで力をもらって頑張っています!


原作者の仕事で大切なこと

――原作者の仕事で大事なことを教えてください。

ナツノアメ:かっこいい話と、テクニカルなお話がありますよ(笑)

――それでは、かっこいいお話からお願いします!

ナツノアメ:やっぱり、「どれだけ人生の引き出しがあるか」は大事だと思います。特に「唯一無二」みたいなものが強いです。わかりやすいものだと、「専門性のある仕事」とかですね。

――人生経験、ということですね。原作者っぽいです。では、テクニカルなお話は?

ナツノアメ:出版社の担当の方と良い関係を築いて、担当の方からの意見を上手に受け止めることだと思います。すごい頑張って作ったお話でも、「面白くない!」という厳しい意見を頂くこともあります。しかしそこで、「作品が否定された」「自分の能力まで否定された」と受け止めると創作がキツくなります。創作の視点とビジネスの視点で違いがあるので、ぶつかって当然なんです。なので、どこかで「仕事だから」って割り切りつつ、「どうやったらプラスになるかな」と考えて、頂いた意見から作品を良い方向に持っていくことが大切です。

―― 一般的なお仕事でも大切なことかもしれませんね。

ナツノアメ:はい。ただ、何を言われても「ゆずれないポイント」を持っていないと自分が続けられなくなります。そのバランス感も大切です。自分の中に絶対にゆずれないことをできるだけシンプルに持っておくんです。『サテコイ』なら「優しい世界」ですね。

宇宙鯨の遊泳シーン [にわかあめ(よよはち×ナツノアメ), サテライト・コインランドリー(1), KADOKAWA, 2023, p.136-137]

アイディアの出し方

――お話の種はどのように集めているんですか?

ナツノアメ:地道に、できるだけネタを書き留めています。歩いていて思いついたことをiPhoneのメモにとにかく書いたりしていますね。最近は忙しくて、インプットの時間が少なくて何とかしなければと思っています!

スーパーお天気砲の発射シーン [にわかあめ(よよはち×ナツノアメ), サテライト・コインランドリー(2), KADOKAWA, 2023, p.145]

原作者として嬉しいこと

――原作者をやっていて、嬉しいことは?

ナツノアメ:やっぱり、読んでくれた方からの感想やメッセージを頂いた時がとても嬉しいです。お話づくりがうまく行かない時など、本当に助けられながら作業を進めています。最近だと、コミティアのブースに小学生の方が来てくれてとても嬉しかったです。小さい頃に読んだ作品ってやっぱり影響を受けるじゃないですか。そういうふうに誰かに影響を与えられたらいいなって思います。


影響を受けた作品

――ナツノアメ先生が影響を受けた作品を教えてください!

ナツノアメ:小さい頃、『ハリー・ポッター』、『ダレン・シャン』、『デルトラ・クエスト』などが流行った時代にファンタジーを読み漁っていました。そのときに読んだファンタジーの物語に影響を受けました。当時、自分でもノートに物語を書いていましたね。特に『ダレン・シャン』が好きでした。その後、スピルバーグ監督を始めとするSF映画が好きになって。なので私には「ファンタジー×SF」みたいなものが根底にあると感じます。

――なるほど。『ダレン・シャン』懐かしいですね。ちなみに、漫画やアニメなどサブカル方面ではどのような作品を読んでいましたか?

ナツノアメ:ライトノベルですが、『キノの旅』も好きで、影響を受けたと思います。漫画だと、私が小さい時に親が買ってくれた『火の鳥』『ドラえもん』ですね。小さい頃に繰り返し読んだ作品は、やっぱりずっと残るだなって

――同じように、先生の作品も子供たちに影響を与えて、心に残っていくわけですね。

ナツノアメ:はい、責任重い仕事だと思いますあのときサテコイ読んだからっていう1人でもいたら嬉しい思います


今後の展望

――最後に、今後の目標や野望を教えてください!

ナツノアメ:まずは『サテライト・コインランドリー』をどれだけ続けていけるかっていうのが一番大事ですね。あと、私は会社員としてフルタイムで働きながらやっているので、いろんな経験をしていて本当は創作活動をやりたいけど、やれていないという人たちに対して、こういう働き方もあるんだよっていうのを伝えて、そういう社会人が創作をするっていうところに貢献できるといいなって思っています。

――読者だけでなく創作を目指す方も幸せにする素敵な目標ですね。これからも先生の作品を楽しみにしています。本日は貴重なお話をありがとうございました!

ナツノアメ:ありがとうございました!


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にわかあめ(よよはち×ナツノアメ), サテライト・コインランドリー(2), KADOKAWA, 2023

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にわかあめ(よよはち×ナツノアメ), サテライト・コインランドリー(1), KADOKAWA, 2023

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大山 悠二

31歳、独身。中学生の頃から主に現実逃避のために漫画を読んできた。詳しいジャンルは00年代の萌え系、異世界系など。

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