会社員から漫画家へ!蛭塚都先生 特別インタビュー(前編)【ゴゴゴゴーゴーゴースト】【4LDK】
WEBコミック誌「COMIC BRIDGE」(KADOKAWA) で連載されSNSでも話題になった『ゴゴゴゴーゴーゴースト』『4LDK』の生みの親、蛭塚都(ヒルヅカ ミヤコ)先生へのインタビューをお届けします!
Contents
――本日は、お忙しい中お時間を頂きありがとうございます!
蛭塚都:こちらこそありがとうございます。どうぞよろしくお願いします!
人生を変えた漫画との出会い
――漫画家を目指したきっかけを教えていただけますか?
蛭塚都:学生時代にボールペンで漫画を描いてみたことはありましたが、社会人になってからあるスポーツ漫画にハマったことをきっかけに、本格的に漫画を描こうと思いました。
――人生の転機も、やはり漫画だったんですね!
蛭塚都:2012年の年始に高熱で寝込み、布団の中で暇を持て余していた時に、以前友人に勧められていた漫画の電子版を読み始めたんです。それがとてつもなく面白く、(当時は紙版と電子版の発売日にひらきがあったので)電子版未発行の巻を求めて、熱があるのに家を飛び出し、本屋へと走りました。それくらい衝き動かされました。この作品に夢中になったことを機に二次創作を始め、いつしか漫画を描くことそのものが楽しくなっていきました!
死の淵から生還 – 会社員から漫画家へ
――元々、美術系の学校を卒業されたのでしょうか?
蛭塚都:美大ではありませんが、デザイン学科を卒業しています。デッサンの授業もありました。
――基礎の画力は、そちらで培われていたのですね。
蛭塚都:本格的に漫画を描き始めたのは、社会人になってからでしたが、デザインのためにデジタルツールを学んでいたことは、漫画の世界に飛び込むハードルを下げてくれたと思います。
――デジタルツールの普及で、漫画を描ける人が増えてそうですね。プロの漫画家になるまでのことをもう少し教えていただけますか?
蛭塚都:二次創作のコミュニティに入ると沢山のプロの方がいたんですよね。自分の生活の中に漫画家という存在が現れて初めて「漫画家になりたい」と考えるようになりました。
――周囲の漫画家から受ける影響は大きそうですね。当時、会社員をやりながら漫画を描くのは大変だったと思いますが、いつ作業されていたのでしょうか?
蛭塚都:隙間時間を活用していました。通勤中や、お昼ご飯の時間などもノートに色々描いていたり(笑)。家に遅い時間に帰ったとしても、夜中まで描いていました。
――使える時間を最大限に活用した多忙な日々を送られていたのですね。
蛭塚都:当時は平日も休日も描いていました。2012年の冬に前述の漫画にハマったのをきっかけに、同年の4月に二次創作の同人誌1冊目を描き、 4月、5月、6月に新刊を出して、8月にも出しました。
――新刊を出すペースがすごく速いですね!
蛭塚都:頑張っていましたが、過労で体調を崩して入院してしまい…
――えっ、それはだいぶ危険な容態だったのでは…?
蛭塚都:はい。入院中、今夜が峠かもしれないと言われた夜に「漫画を本気で描かなかったことだけが後悔だ」と思い目を閉じたのですが、翌朝目が覚め、その後回復したので、本格的に漫画家を目指そうと思いました。
――死の淵から戻り、後悔しない生き方を選択をされたのですね。先生の作品を読めることに改めて感謝します!
漫画は○○から学ぶ
――漫画はどのように学ばれたのでしょうか?
蛭塚都:色々な面白い漫画があるので、漫画のことは漫画から教えてもらいました。
――つまり、漫画は漫画を読んで学ばれたと?
蛭塚都:そうです。皆さん心の中に特別な漫画があると思うので、なぜ良かったのか、振り返りながらもう一度読むと漫画を描くヒントが見つかると思います。
漫画家に必要なこと
――漫画家志望の方へアドバイスをいただけますか?
蛭塚都:商業漫画家は、漫画の技術向上だけでなく、編集との打ち合わせや、スケジュール管理などを含めた多岐にわたる作業が必要になります。なので、「漫画と関連がないから、これはやらなくていいや」という考えは避け、色々なものに興味を持ち、多くのことに触れた経験から、スキルや視点を得ることが魅力的な作品づくりにつながると思います。
――漫画を描く力はもちろん、漫画家の世界でもマルチタスクとオープンマインドが重要なんですね。
蛭塚都:はい。作品づくりの努力は、すでにされていると思いますので。
『ゴゴゴゴーゴーゴースト』誕生秘話
――SNSでも話題になった先生の代表作「ゴゴゴゴーゴーゴースト」が生まれた背景を教えていただけますか?
蛭塚都:作品を連載した「COMIC BRIDGE」(KADOKAWA) さんのキャッチコピーが「恋より熱い、なにか。」「女性が読む青年誌」だったので、恋よりも熱いものって何だろうって考えたときに、「絆」と「怒り」みたいなものが思い浮かびました。当時は連載会議がうまくいかず、誰でもいいから助けて欲しい、甘えた気持ちがあったんですよね。自分の実力が足りないせいだとわかってるけど、とにかく味方して欲しいと思って神頼みのような願望が根底にありました。だから守護霊です(笑)。
――媒体のコンセプトを起点に、ご自身の思いを形にされたのですね。
蛭塚都:はい。編集さんサイドが持っている特徴やメッセージから、「この媒体ではこういうことを読者さんに伝えたい」っていうのを自分なりに解釈して、あとは自分ごとを基に作品を作っています。
インタビューは後半に続きます!(続きはこちら)
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画像引用元:
[1] 蛭塚都、ゴゴゴゴーゴーゴースト 1 (BRIDGE COMICS) Kindle版、KADOKAWA、2022、p.94
[2] 蛭塚都、ゴゴゴゴーゴーゴースト 1 (BRIDGE COMICS) Kindle版、KADOKAWA、2022、p.30
[3] 蛭塚都、ゴゴゴゴーゴーゴースト 1 (BRIDGE COMICS) Kindle版、KADOKAWA、2022、p.74-75