『勇者のクズ』(30過ぎオタクのおすすめマンガ紹介)

概要

  • 作者 : マンガ:ナカシマ723 先生 (X(twitter))/ 原作:ロケット商会 先生(X(twitter))
  • 小説投稿サイト「pixiv小説」に投稿された作品「勇者稼業」を源流とするマンガ
  • 異能バトル系マンガ
  • 原作小説が面白すぎて自らコミカライズを推し進めたマンガ担当の先生が描く、思いを込めた素敵な作品


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感想

pixiv小説から『カクヨム』の受賞→コミカライズ担当の先生が自費出版をする

pixiv小説に投稿された作品に感動をした ナカシマ723 先生が、自らコミカライズを推し進めたマンガです。
マンガ担当に立候補しただけではなく、漫画化プロジェクトが一度ポシャったことを受けて、自費出版をしています。すごい。
自費出版をしていた時代、出版社の力を借りずに5000部を売り上げ、『【次にくるマンガ大賞】』にもノミネートされています。すごい。

キャラクターが魅力的!かわいい!

ナカシマ723(漫画), ロケット商会(原作), 勇者のクズ 2巻, リイド社,2022/4/22, p103

キャラが立っていて、かつ言動や心情の変化に不自然なところがないか、というのが私の中でのキャラクターの魅力の基準です。
この漫画では、キャラクターがとても魅力的。
そして、心情変化の描写や言動も、不自然なところがありません。
要するに、キャラクターがしっかり立ってます。上の画像を見ても、女の子の目線と姿勢と態度から一人ひとりの性格がまるわかりです。

インフレしにくい異能力バトル設定がちょうどよい

ナカシマ723(漫画), ロケット商会(原作), 勇者のクズ 1巻, リイド社,2022/4/22, p24

ドラゴンボールに代表されるような、異能力バトル系マンガは、どうしても戦闘力がインフレしてしまいます。
しかし、このマンガの主人公のオッサンはもう頭打ち感があり、別に「特訓して敵を倒すぞ」というストーリーでもありません。
なので、前章を振り返ったときの物語の破綻ということも少なく、世界観を楽しむことができます。

絵がかわいい

かわいい。

コミカライズ担当を自ら名乗り出て、自費出版まで推し進めた ナカシマ723 先生が描くキャラクター、なんというか、愛の量が違う気がします。
各キャラクターがとても愛情を持って描いてもらっているような。

ナカシマ723(漫画), ロケット商会(原作), 勇者のクズ 1巻, リイド社,2022/4/22, p173 第7話 扉絵


主人公はやさぐれた勇者(=能力者)で、彼には同じようにスレた勇者の仲間がいます。
その仲間同士の玄人っぽいやり取り等、上手に描かれていると思います。
特に、おっさんたちのキャラクターの描き方がいい塩梅だと感じます。
むさすぎず、可愛すぎず。

自分で仕事を選んでやりきる、という背景まで楽しめるマンガ

ナカシマ723 先生は、自費出版を行った際の費用などをX(twitter)にて公開しています。


だいたい1ページ1万円。かなりのお金をかけています。
そんな中で、自分でやっていける目算をたてて実際に売り上げる。
すごい時代になりましたね。
クリエイターの方はどうしても商売のそろばん周りのことが疎いようなイメージがありますが、昨今は様々なツールやサービスが充実してきていて、やろうと思えば一人でも完結できるようになってきています。(まだまだ大変でしょうが)
マンガの内容ももちろん素敵なのですが、この背景まで知っていると、もう少し余計に楽しめますし、応援したくなりますね。

大山 悠二

31歳、独身。中学生の頃から主に現実逃避のために漫画を読んできた。詳しいジャンルは00年代の萌え系、異世界系など。

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