『D.Gray-man』祝最新29巻発売!──直近の展開と共に最新巻の見所まとめ

『D.Gray-man』最新29巻発売!──「どこにも帰れない」アレンの旅路、再び深まる闇の中へ

星野桂先生の描く『D.Gray-man』は、読むたびに心の奥を静かにえぐってくるような作品です。
少年漫画の枠に収まりきらないほどに複雑で、痛々しくて、それでも美しい物語。そんな作品の最新29巻が、ついに今日発売されました。

直近に明かされたアレンの悲しい過去と「マナ」と「ネア」の物語を整理・解説しながら、
29巻を最高に楽しめる準備をしていきましょう!

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◆ 振り返り:アレンが“ネア”である意味

直近の28巻では、アレンの過去が細かに描かれています。

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アレンの中には2つの人格が存在し「アレン」「14番目/ネア」が共存するような状態です。

アレンの育ての親であるマナにも2つの人格が存在しそれが「マナ」「千年伯爵」です。

さらに「マナ」と「ネア」は元は1つの存在(千年伯爵)であり、双子のように育ったのです。

記憶を書き換えることのできる中央庁の自立型イノセンス「アポクリフォス」。その企みによりアレンのイノセンスが発動し、マナの中の千年伯爵を破壊するように働きかけます。激しい怒りで我を失うアレンですが、マナの呼びかけにより、正気に戻ります。

この時アレンの中の「ネア」の人格が「マナ」の人格が触れ「立ち止まるな 歩き続ける」とのネアからのエールとも取れるメッセージによりマナは死力を尽くしてアレンに語りかけるのです。

直後倒れてしまった「マナ」から千年伯爵が現れるような描写へと移りますが、それをアレンの師「クロス・マリアン」が抑え込みます。

アレンの過去について連載開始当初のイメージと直近数巻の内容を踏まえた28巻のイメージではその深みや背景となる前提が大きく変わり、物語に一層の深みを与えています。


◆ そして29巻へ──“アレン”という存在が問われる

29巻では、いよいよアレンの物語が再び動き出します。

神田、ジョニー、リンク、ティエドールと共に動き出すアレン。そして覚醒するネア。アレンはネアとの対話から物語は展開していきます。ネアとマナとの更なる展開も去ることながら、特に注目すべきは表紙にも描かれる「先代のブックマンJr」、そしてアポクリフォスによって失われていたアレンの「過去」と「イノセンスを持つ左腕」についてです。

今を生きるアレンが今後どのような旅をし、何を成し遂げていくのか。千年伯爵やノアの一族との結末はどのように描かれていくのか益々目が離せません。

2004年の連載開始から20年を超え、今尚ワクワクし展開が待ちきれないような漫画も稀有です。作画も巻数を増すごとに描写の繊細さ、表情、目の力の具合まで1コマ1コマ、それぞれのキャラクターが一層愛おしくなっていく作品です。

星野桂先生の描くアレンを始めとするキャラクターの1人1人、その瞳に宿る“痛み”
まるで祈るように、ただそこに存在しているだけで、語りかけてきます。


◆ まとめ:『D.Gray-man』は、終わらない傷のように胸に残る

29巻を読んであらためて感じたのは、これは「救いの物語」ではないということ。
むしろ、「救えなかった」こと、「それでも前を向こうとすること」の連続。
アレンという存在が、そのまま私たち読者の“どうしようもなさ”に重なってきます。

だからこそ、美しい。
そしてだからこそ、続きが読みたくてたまらなくなります。

これから読む人には、ぜひアレンの心の旅を追体験してほしい。
彼が誰よりも“人間らしく”あろうとした姿が、きっと心に残るはずです。


[1-2]星野桂 、『D.Gray-man』、集英社、ジャンプ・コミックス

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まよまよ

新潟出身の漫画中毒めがね。コアでニッチな漫画が割と好き。猫と暮らす。

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