ストレス社会にギャグ漫画を!名作まとめ【日常/荒川/ボーボボ/女の園の星】
日頃強いストレスに晒されているあなたにこそギャグ漫画を読んでもらいたい。
笑いが脳と心に与える作用は、ただの娯楽の枠組みを超え、「ギャグ漫画=ストレス発散装置」と言っても過言ではありません。
その仕組みとオススメのギャグ漫画をピックアップしてご紹介します。
contents
オススメ!ギャグ漫画紹介
- 2.あらゐけいいち『日常』『City』『雨宮さん』
- 3.中村光『聖☆おにいさん』『荒川アンダーザブリッジ』
- 4.澤井啓夫『ボボボーボ・ボーボボ』
- 5.和山やま『女の園の星』『カラオケ行こ』
- 6.まとめ
1.ギャグ漫画は脳を幸せにする?
笑いの瞬間、脳が“幸せ物質”を分泌する
ギャグ漫画を読むとちょっとしたシーン思わず笑顔になり、吹き出す、脳内でエンドルフィン(幸福感をもたらす物質)やドーパミン(やる気や快感に関わる物質)が分泌されます。これは運動後の高揚感や、美味しいものを食べたときの多幸感と似た作用です。
つまり「笑う=脳に小さなご褒美をあげる」行為で、ストレスホルモン(コルチゾール)の濃度を下げる効果もあります。
仕事や学校で嫌なことがあった時こそギャグ漫画が効果的なんです!無心になってギャグ漫画に没頭し、腹筋耐久ご褒美時間と洒落込みましょう!!
【日常→カオス型】あらゐけいいち
あらゐけいいち先生の魅力は、平凡と異常を絶妙な温度差で同居させる点にあります。
教室や買い物といった日常の場面に、突拍子もない違和感を自然に差し込み、現実とフィクションの境界をなめらかに混ぜる。その中で展開される会話は、本筋からの脱線が黄金比で面白く、最後には全く別の話題でオチることもしばしば。さらに、無表情のキャラが奇行を当然のように行う“無自覚な異常さ”や、沈黙を活かした間の演出がシュールな爆発力を生み出します。
背景や小物に漂うレトロ感も読者の記憶を刺激し、安心感と意外性が同時に訪れます。結果として、あらゐ作品は何度読み返しても新たな笑いが生まれる稀有なギャグ漫画となっています。
『日常』

妄想がふくらみがちな夢見る女子高生・ゆっこの回りにはロボやらヤギやら謎なものがいっぱい。今日も微妙にシュールな日常が始まります。
『CITY』

一文無しの大学生・南雲の行くところ必ず何かが起こる。普通のCITYに住むちょっと普通じゃない人々。彼女が走ればCITYは回る、皆が繋がる。あらゐけいいちワールド全開のガールズ・ラン・コメディ開幕!
『雨宮さん』

主人公の名前は、雨宮さん。フェティシズム溢れる彼女の毎日は、いつだって想像の斜め上!
なんか好き!って気持ちは、やめられない!止まらない!『日常』のあらゐけいいちが贈る、もうひとつの日常コメディー開幕!
【カオス→ロマンチック型】中村光
中村光先生の魅力は、シリアスと不条理ギャグを瞬時に切り替える“緩急の魔術”にあります。
『荒川アンダー ザ ブリッジ』や『聖☆おにいさん』では、突飛なキャラクターたちが宗教や社会、恋愛といった題材を真顔で語り、そこで生じるギャップが笑いを生む。会話劇のテンポは演劇的で、言葉選びに知性と毒を潜ませるのも特徴です。
登場人物は変人揃いですが、互いの奇妙さを受け入れ合う空気があり、読者はその居心地の良さも魅力です。背景や小物にはポップで洗練されたデザインセンスが漂い、視覚的にも心地よい。シニカルでありながら温度感のある作風は、一読で中村先生と分かる唯一無二の魅力です。
『荒川アンダー ザ ブリッジ』

荒川河川敷に集うのは、星型のマスク男、河童の村長、電波なシスター…もう全員何者なのか分からない。でも、このカオスの中で生まれる会話や恋愛模様は、不思議と心を温める。
中村光先生は、変人たちのカーニバルをロマンチックにまとめます。奇抜なネタの裏に、ちゃんとキャラクターへの愛情が流れているから、笑いながらちょっと泣けるのです。
『聖☆おにいさん』

目覚めた人・ブッダ、神の子・イエス。世紀末を無事に越えた二人は、東京・立川でアパートをシェアし、下界でバカンスを過ごしていた。近所のおばちゃんのように細かいお金を気にするブッダ。衝動買いが多いイエス。そんな“最聖”コンビの立川デイズ。“笑い”でも世界を救う! 聖人in立川。ブッダとイエスのぬくぬくコメディ。
【カオス→爆発型】澤井啓夫
澤井啓夫先生の魅力は、理屈抜きで直感的に笑える“勢い重視”のギャグ構築力です。代表作『ボボボーボ・ボーボボ』では、ストーリー進行をほぼ無視した予測不能なボケが連発され、ツッコミもカオスの渦に飲み込まれます。キャラクターデザインは極端にデフォルメされ、動きや表情の誇張が映像的な爆発力はえげつない。ギャグの発想、言語遊びやパロディ、読者へのメタな呼びかけまで多層的で、読み手を振り落とすほどのテンポ感を誇る。結果、作品世界全体が巨大なコント舞台となり、読む側も「なぜ笑っているのか分からないけど笑ってしまう」状態に導かれるのが澤井流の真骨頂です。
『ボボボーボ・ボーボボ』

西暦300X年、全世界を支配する皇帝は、国民全てをボーズにすべく「毛狩り」を開始! そんな世に一人の男が現れた! その名もボボボーボ・ボーボボ! 究極の拳法「鼻毛真拳」を使う彼こそ、救世主だといいな!?
読み始めた瞬間から、脳に爆竹を突っ込まれるようなテンポ。ギャグが詰め込まれすぎて、ツッコミを考える暇もない。
澤井啓夫先生は理屈を捨てた笑いの重機。展開の意味を理解しようとする時点で負けで、ただ笑いの渦に巻き込まれるのが正解です。この漫画で鍛えられた人は、多少のカオスでは動じなくなるはず。
【静寂→爆心地型】和山やま
和山やま先生の魅力は、日常会話の温度感と絶妙な間から生まれる“くすぐる笑い”にある。『カラオケ行こ!』や『夢中さ、きみに。』では、派手なボケやオチよりも、キャラ同士の距離感や表情の変化で笑いを引き出す。セリフ回しは会話としての自然さを保ちながらも、時折現れる予想外の一言が読者の不意を突く。背景や描線はシンプルで、余白がキャラの感情や間を引き立てる。笑いと同時に人間関係の温かさや切なさもにじみ出し、読後には静かな余韻が残る。ギャグでありながら感情を揺らす作風は、今の漫画シーンでも稀有な存在感を放っている。
静かで淡々とした日常シーン。なのに、その間に突然ピンポイントで落ちる一撃が腹筋を直撃する。和山やま先生は「間」と「静けさ」を武器にした笑いの職人です。台詞回しが妙にリアルで、じわじわ効く笑いが後から倍増して襲ってくる。読後、ふとした瞬間に思い出し笑いをしてしまうのは、もはや和山病。
『女の園の星』

ある女子校、2年4組担任・星先生。生徒たちが学級日誌で繰り広げる絵しりとりに翻弄され、教室で犬のお世話をし、漫画家志望の生徒にアドバイス。時には同僚と飲みに行く…。な~んてことない日常が、なぜこんなにも笑えて愛おしいんでしょう!?どんな時もあなたを笑わせる未体験マンガ、お確かめあれ!
『カラオケ行こ』

合唱部部長の聡実はヤクザの狂児にからまれて歌のレッスンを頼まれる。彼は、絶対に歌がうまくなりたい狂児に毎週拉致されて嫌々ながら歌唱指導を行うが、やがてふたりの間には奇妙な友情が芽生えてきて……?
まとめ 笑いの地図を広げよう
4人作者の笑いは、それぞれ違う方向からやってきます。
作家名 | 代表作 | 笑いの速度 | 笑いの温度 | 特徴的な武器 |
---|---|---|---|---|
あらゐけいいち | 日常 | 中速 | やや冷 | ズレの構築 |
中村光 | 荒川アンダー ザ ブリッジ | 中速 | 温か | カオスを愛で包む |
澤井啓夫 | ボボボーボ・ボーボボ | 爆速 | 熱 | ネタ連射砲 |
和山やま | 女の園の星 / カラオケ行こ! | 低速 | 中立 | 間と静寂の爆発力 |
笑いの速度も温度も、作家によってこんなに違う。あなたの今の気分に合わせて、どの大陸から旅を始めてもいい。
1冊読み終えるたびに、きっと現実の見え方が少しだけ変わるはずです。
[1]あらゐけいいち、『日常』、KADOKAWA、月刊少年エース
[2]あらゐけいいち、『CITY』、講談社、モーニングKC
[3]あらゐけいいち、『雨宮さん』、小学館、ゲッサン
[4]中村光、『荒川アンダー ザ ブリッジ』、スクウェア・エニックス、ヤングガンガンコミックス
[5]中村光、『聖☆おにいさん』、講談社、モーニングKC
[6]澤井啓夫、『ボボボーボ・ボーボボ』、集英社、ジャンプ・コミックス
[7]和山やま、『女の園の星』、祥伝社、フィールコミックス SWING
[8]和山やま、『カラオケ行こ!』、KADOKAWA、ビームコミックス