ついに続編!『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』考察レビュー

――理想と葛藤の先にあるもの。続編『キルケーの魔女』への期待――

『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』は、アムロとシャアの時代を経た宇宙世紀0105年を舞台に、ハサウェイ・ノアという青年の苦悩と戦いを描いた作品です。
地球連邦政府の腐敗に立ち向かう彼の行動は、理想のための戦いである一方、他者を傷つける現実とも常に隣り合わせです。
その狭間で揺れるハサウェイの姿は、観る者に深い問いかけを与えます。


■『逆襲のシャア』の亡霊を背負うハサウェイ

ハサウェイは、ブライト・ノアの息子として戦争の現実を目の当たりにしてきました。
少年時代に失ったクェス・パラヤの死や父の理想への複雑な思いが、彼の心の奥に深く残っています。
その傷跡が、マフティー・ナビーユ・エリンとしての反政府活動へと彼を駆り立てるのです。

理想を掲げながらも、現実の暴力に飲み込まれてしまう――。
ハサウェイの物語は、かつてのシャア・アズナブルの系譜を受け継ぐ、苦悩する英雄の姿でもあります。


■三者の心理戦が浮き彫りにする正義の曖昧さ

物語の中心には、ハサウェイ、ギギ・アンダルシア、ケネス・スレッグという三人の関係があります。
ギギは、ハサウェイの理想に影を落とす存在であり、言葉や行動の一つひとつが彼の思想を揺さぶります。
ケネスは連邦軍の将校として彼を追う立場でありながら、ハサウェイに惹かれる複雑な感情を抱きます。

三者の交錯は、正義と悪の境界線がいかに曖昧であるかを浮き彫りにします。
誰もが自分の正義を信じながら、他者の正義を否定せざるを得ない世界――観客に問いかけるのは、「あなたはどの正義を選びますか」ということです。


■映像と音楽が映し出す現実感

第一弾PV

映画版第一弾での谷口悟朗監督による映像表現は、戦争を“遠い宇宙の出来事”ではなく、現実に近い緊張感として描き出します。
都市の雑踏、夜の空気、濡れた路面の質感まで、観る者を物語世界に引き込みます。

音楽を担当した澤野弘之のスコアも、ハサウェイの内面と絶妙に呼応しています。
Alexandrosの主題歌「閃光」が流れるラストシーンは、希望なのか絶望なのか判別できない余韻を残し、映画の終わりでありながら物語の続きがあることを示唆しています。


■続編『II キルケーの魔女』への期待

続編の正式タイトルは、『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ キルケーの魔女』
公開は 2026年1月30日が予定されています。
タイトルにある“キルケー”は、ギリシャ神話に登場する魔女で、人を動物に変える力を持つ存在です。
その象徴は、物語における幻想と現実の境界、そして登場人物たちの心理的変容を暗示しています。

続編では、ハサウェイの理想と罪がさらに深く掘り下げられ、ギギ・アンダルシアの存在がどのように物語を動かすのか注目されます。
戦争の行方だけでなく、人間の心の葛藤も大きなテーマとして描かれることが期待されます。


■結び――理想を信じることの意味

『閃光のハサウェイ』は、戦争アクションだけでなく、人間ドラマとしても非常に示唆に富んだ作品です。
正しいことを信じるほど、人は誰かを傷つけてしまう。
それでもなお、理想を手放さず戦うハサウェイの姿は、私たちに深い余韻を残します。

続編『キルケーの魔女』では、その理想の行方がさらに試されることでしょう。
ハサウェイの物語がどのような結末を迎えるのか、そしてその閃光がどのように胸に残るのか――
2026年1月の公開が、今から待ち遠しい限りです。

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まよまよ

新潟出身の漫画中毒めがね。コアでニッチな漫画が割と好き。猫と暮らす。

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