『放課後帰宅びより』 何気ない日常が、特別になる瞬間

「帰りてぇー」
そんな誰もが口にする一言から始まるこの物語。
『放課後帰宅びより』は、ちょっぴり不思議な先輩「直帰ちゃん」と、夢を失った新入生「瞬」が織りなす、青春寄り道コメディです。

放課後、家に帰るまでを最大限に楽しむ「ハイパー帰宅部」の日常を描いた作品『放課後帰宅びより』。帰宅部というと一見すると地味なテーマに思えますが、その中には温かさとクスッと笑える瞬間がたっぷり詰まっています。
将来を有望視されていたサッカー少年・佐藤瞬は、怪我によって夢を絶たれてしまう。希望を失い、灰色の毎日を送る彼は、帰宅途中に「帰り道に転がっている“ロマン”を求める」という謎の活動をする「ハイパー帰宅部」の部長・佐藤直希、通称「直帰ちゃん」に出会います。
なりゆきでハイパー帰宅部に入部することになった瞬は、直帰ちゃんに振り回されながらも、今まで気づかなかった帰り道の面白さ、そして人との繋がりの大切さに気づいていきます。


この作品がただの「ゆるい日常もの」にとどまらない理由のひとつは、「帰宅」に対する深い考察が込められていること。普段、何気なく行っている「帰宅」という行動。だが、それは決して単なる移動ではない。
- 家に帰るまでの時間こそが、一日の終わりを彩る特別な時間なのではないか?
- 最短ルートで帰ることが本当に正解なのか?
- 途中で何かを見つけ、誰かと話すことが「寄り道」ではなく「大切な時間」なのでは?
この作品を読むと、自分の帰宅時間が少し違って見えてくるかもしれません。


ちょっといい景色の場所に立ち寄ったり、猫を追いかけたり、コンビニ買い食いをしたり……後から振り返るとこういうのが青春だったって気付きますよね。


ロマンを大事にする直帰ちゃん。かっこいいの分かるけども不便も楽しもうとするスタンスが素敵です。


『放課後帰宅びより』には、「あ〜、あるある!」と思わず共感してしまうシーンが満載です。
放課後の解放感が最高:「やっと終わった!」の瞬間のあの開放感。
ちょっとした寄り道の誘惑:「寄り道しないぞ!」と思いつつ、ついコンビニへ。
帰宅ルートのこだわり:最短ルート? 景色がいい道? それとも人通りの少ない道?
家に着いた瞬間の幸福感:靴を脱いで「ふぅ…」となる、あの感じ。
こうした何気ない日常が丁寧に描かれているからこそ、読者の心に響く作品になっています。是非『放課後帰宅びより』の二人の日常に癒されてみてください。
[1−10]松田舞 、『放課後帰宅びより』、 双葉社、〈アクションコミックス〉